Steins;Gate 第22話「存在了解のメルト」

 2011-08-31
前回がまゆりとオカリンの穏やかな時間だったのに対し、今回は紅莉栖とオカリンの静かな、そしてかけがえない時間。
まゆりを救う方法はただひとつ、セルンに保存されたオカリンの最初のDメールを打ち消し、電話レンジがタイムマシンとして機能し始めたすべてをなかったことにすること。そしてそこにあるのは、紅莉栖自身もまた失われてしまった世界線。
紅莉栖がオカリンにまゆりを救う決断を促せるのは、何よりも、何度も、何度もまゆりの死を目撃する度に心をすり減らし続けたオカリン自身を救うためなんだよなあ。

いつだって、今までだって、紅莉栖はずっとオカリンの苦悩を支え続けた最高の仲間。
オカリンが時を超える度、失われたはずのそれぞれの時間での紅莉栖の記憶が決して消えていなかったのは、リーディング・シュタイナーという造語による物理的仮説でもなく因果を重ねた思いの蓄積などという陳腐な言葉遊びでもなく、そこにあったのは互い同士の愛情だったというのは…どんな物語の不思議な出来事にも、一発で説得力を与えてしまう、何者にも覆せない最強の論理。
初めて、素直に、紅莉栖への純粋な思いを告白し彼女の唇の思い出を何度も、何度も刻み込むオカリン。
オカリンひとりに見送られ、アキバを去る紅莉栖。大きく放物線を描き放たれたドクペに込められた願いは、これから自分のいない世界に、ただひとり自分の思い出を抱いたまま旅立つオカリンへのささやかなはなむけ。もう自分に振り向かず、助けるべき存在の所に行けという、彼女のプライドゆえの気丈にして切ないメッセージ。

いつだって、今までだって、鳳凰院凶真は本来気弱な青年であるオカリンの、精一杯の強がりの代弁者。
IBN5100の機能が発見した、セルンに保存された最初のDメールの消去こそ、狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真その勝利の時。
高揚すべき勝利宣言に覗く切ないもの悲しさは、その勝利の影に犠牲になった幾つもの尊い想いゆえに。
すべてを決するエンターキーを叩いたまさにその瞬間、最後にオカリンの前に現れる紅莉栖と、そして突破する世界線1%の壁…。

鳳凰院凶真の勝利したその世界は、もう、誰も紅莉栖のことを覚えていない、誰も紅莉栖のことを知らない世界。
紅莉栖の痕跡でもある、彼女の縫った白衣の刺繍の跡まで消えたことを自嘲気味に確認し、あくまで鳳凰院凶真として強がろうとするオカリン。
そのオカリンに捧げられる、まゆりの「オカリンは自分のために泣いていい」という言葉は、何度となく、多くの想いも犠牲も踏みにじっての苦しい旅を終えたオカリンに対する、誰よりも「赦す」という恩赦であります。
Dメールとタイムリープを巡る、多くのオカリンの罪に対して赦す資格があるのはまゆりだけというか…本当にここが、物語の終着点であったとしても、美しい終わり方でもあるんですな。

オカリンひとりだけが、多くの辛い思い出を抱いたまま動き出す新しい世界と、そして――その世界さえも時間の陥穽だったことを告げる、切羽詰った1本の電話。
…EDの最中の、突然の映像の逆転再生と鳴り響くダルのケータイという、まさかの原作トゥルーエンドへの道程の完全再現演出!
嗚呼…原作でここまで至ったときのテンションが再び甦った! 次回、いよいよ最終章突入。オカリン、シュタインズ・ゲートの真の選択に至る…。
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北国に蠢く黒い影。心に星を持つ男。
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