氷菓 第二十二話「遠まわりする雛」

 2012-09-22
雛祭りの準備に追われるおっさん方の中に混じっての奉太郎の「落ち着かない」のモノローグは、まんま大御所声優陣に囲まれる奉太郎役中村悠一(ブシドー)の緊張の弁に聞こえるなあ。去年「日常」放送してるときも思ったけど、永井一郎や千葉繁といった大物の皆さんをこうも惜しげなく使えるのが今の京アニの勢いなんだわなあ。

えるから地元の行事に誘われた奉太郎と、そんな些細な行事の間に起こる連絡の行き違いで起こったルート変更という出来事。
そのルート変更がもたらす、狂い咲きの桜の木の下、おごそかに行われる生き雛の行列。
いかにもな地域行事を、狂い咲きの桜というロケーションを得て荘厳に、華々しい光景として見せる画の力。番組が2クール放映と判った時点で、原作からして最終回はこの話になるんだろうなとは思っていましたが、むしろこの原作エピソードをどう絵にするかも番組を見続けてきた上での興味でした。
あまりにも、現実離れした世界の中、傘を持って行列に加わる奉太郎が見る、薔薇色すら塗り潰す雛であるえるの十二単の華やかさと桜色の光景。
今回、最終回というのもあって終始奉太郎が「らしくない」空気に呑まれてしまうというのがあって、それがラストシーンでの、普段決して言葉として発することがない独白に繋がる…という物語の流れがスマートに進行したなと。

華々しい祭りの終わりと、そしてえるが奉太郎に見せる、自分が生きていく世界。自分の世界のために生きていく決心は、決して悲しいことではなく、よりこの世界を薔薇色に彩っていこうという希望ある未来。
奉太郎が、そのえるに対して音を伴った言葉を発することが出来ないのは、自分の世界とえるの世界の隔たりからまだ一歩を踏み出せないため。
「灰色」から、「薔薇色」に踏み出す。たぶんその手を引いてくれる人間はすぐ側にいる。だけど、その手を取る――自分の世界から踏み出す勇気をまだ持つことは出来ない。あたかもそれは、摩耶花のバレンタインチョコを忌避し続けていた里志のごとくに。

見終わってみれば、番組全体は本当にあたりまえのボーイ・ミーツ・ガール。灰色の世界に居心地を感じていた主人公が、薔薇色を纏ったヒロインと出会い、彼女に引っ張られるままに薔薇色の世界に感化されていく。
灰色の世界から主人公が俯瞰する青春の眩しさと、薔薇色の世界からヒロインが覗くこととなる決して輝いているばかりでない青春の切なさ。
改めて、角川と京アニがこの原作のアニメ化に動いたのは、切なさ募る青春ミステリーという側面より、主人公とヒロインの物語にあったのだなと思います。

原作のストック的に二期展開などは望めそうにはないのでしょうが、劇中、春に始まり春に終わる、四季折々の風景の様と共に綺麗に終えられた作品だったのではないかと。
「ハルヒ」や「けいおん」の華やかさとは違った部分で、京アニという製作会社の力に存分に魅せられたアニメでした。また格調高い演出力と流麗な画力が存分に生きる新作を見せてもらえること、楽しみにしております。


遠まわりする雛 (角川文庫)遠まわりする雛 (角川文庫)
(2010/07/24)
米澤 穂信

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氷菓 第二十一話「手作りチョコレート事件」

 2012-09-15
原作でもすっきりしない結末となるエピソードだったとはいえ、あからさまな蛇足部分を付け足すのは、物語のほろ苦さを少し台無しにしちゃった感があるんだけどなあ…(もっともこの蛇足を付け足さないと、冤罪の人間をひとり生み出すことになってしまうんだけど)。

奉太郎と里志がバーチャロンに興じるからって、ブシドー対ウッソ(フラッグ対Vガンダム)の戦闘を脳内シュミレーションなんかしない。田舎のゲーセンの描写だからって、2012年現在が舞台の話でバーチャロンで熱くなってる学生ってのも渋いな(笑)。
2月14日、バレンタインデー、摩耶花からのチョコを巡る里志の葛藤。
今回、明かされる事実に際し珍しく奉太郎が怒りを露にするのは、里志が摩耶花の気持ちを文字通り「踏みにじった」ばかりでなく、その摩耶花の気持ちを心から応援していたえるまで傷つけてしまったこと。
子供じみた中学時代を経て、自分で多少は大人になったと思っていても、チョコを受け取ることで生じるであろう人間関係の変化はまだ受け入れられない。

思春期という時期ゆえの成長と変化に対する戸惑いを、里志という、ある意味視聴者を安心させるキャラクターに演じさせるあたりの意外さもまたこの作品らしい青春の苦さと深み。
ワトソンでもあり、ジョーカーでもある里志もまたこの物語の登場人物として、どうしようもない事態に直面し、苦悩し葛藤する。
今回、自分にとっては蛇足と感じられた原作からの追加部分は、今回の事件の解決パートであると共に里志がやっと自身の葛藤から一歩を踏み出した決意。ええ、次回が最終回として、あまりにすっきりしない結末のままで番組を終わらせられないというのもあるんだけれど、あえて切ない余韻を残したままエピソード終了でも良かったんじゃないかと。なんとなく原作の読後感とアニメ見終わっての印象が、結構食い違っていたようにも思えたので。

人生で二度とない高校1年時のバレンタイン、奉太郎が貰ったチョコは姉ちゃんから同情的に板チョコ1枚だけ(哀)。えるからチョコをもらえないくだりも、原作ではもっとあっさりもっと冷淡に奉太郎のがっかり感を煽るものだったんだがなあ(笑)。わざわざえるの態度を意味深にするあたりも、このアニメ化がいかに奉太郎とえるの関係を注視して作られているというか。

氷菓 第二十話「あきましておめでとう」

 2012-09-14
長編シリーズが終わってひたすら続く奉太郎とえるのイチャラブ(笑)展開。今回はラブコメらしく、元日早々二人そろって納屋に閉じ込められてピンチでござる。
コタツに転がって寝正月を堪能する奉太郎を呼びつけるえるからの初詣の誘いと、古典部一同揃って摩耶花が巫女のバイトしてる神社へ。今回、話の流れそのものは拍子抜けするぐらいラブコメ漫画の正月話なんだよなあ。奉太郎の蔵と納屋の区別がつかなかったというゆとりらしいカン違いのせいでピンチに陥る二人。現実的な脱出手段であるケータイを、いいトシした高校生が二人そろって所持してないというのは…。奉太郎の場合は、里志以外友達いないので必要ないという理由が判りやすすぎて泣けてくるわ(涙)。

脱出の鍵となるのは奉太郎と里志二人とも見てた正月時代劇。SOSのメッセージを里志に伝えるための小道具作成の様はまるでMASTERキートンか冒険野郎マクガイバーかって地道な努力。
今回、物語的には単純な正月トラブルとして、一応語られるべき本題は、一介の男子高校生である奉太郎と、地元の名士の娘であるえるとの立場的な距離感が浮き彫りになったことですかね。
トラブルとはいえ、男と二人きりで納屋の中というあらぬ誤解を招きそうな状況では大声出して助けを求めることも出来ないえる。もちろんえる個人のプライドの問題などではなく、話はえるの実家の風評にまで及んでしまうこと。
原作のエピソード順的に、おそらく最終回でも引きずってしまう二人の間の距離というか、そういう意味では、実はすっきりした終わり方…という結末を迎えるわけでもないアニメ化だったというか。

ぶっちゃけ二人が閉じ込められてるだけの話でもあるので、ビジュアルで強調すべきは振袖姿のえるの和服の色気というか、作画の全精力がえるのうなじに注がれてるんじゃないかって気合の入り方に見入ってしまいました(苦笑)。あと地味に、イメージ描写としての奉太郎のてへぺろだの脱出のため拳ひとつで納屋を破壊するバイオレンス奉太郎だの、ビジュアル的な可笑しさも忘れないあたりはいつもの堅実な仕事であります。
次回、またももげろと言いたくなるバレンタイン話。

氷菓 第十九話「心あたりのある者は」

 2012-09-05
めくるめく金言は「理屈と膏薬はどこにでもくっつく」→「瓢箪から駒」。
奉太郎とえる、二人だけでイチャラブ部活風景の巻。シチュエーションだけだったらそうなんだから仕方ない。

放課後の緊急放送に端を発する、全編、ほぼ二人のディスカッションだけで展開する安楽椅子探偵劇。舞台転換もない、他の登場人物の登場によって物語の空気が転じるわけでもない二人芝居として、物語を引っ張っていく上で、飄々とした態度の奉太郎に対する感情表現豊かなえるというコンビで最低限のメリハリは作っているわなあ。
二人にとっては、あくまで退屈な部活動の時間の合間の推理ごっこ。名探偵折木奉太郎、安楽椅子ならぬ部室の椅子に座したまま、最低限の情報から緊急放送の意図に対する推論を積み上げていく。
名探偵の告げる推理は、そのまま言葉によって「事実」という世界が造り上げられていく工程。今、行っているのはあくまで「推理ごっこ」。奉太郎の推論は、あくまで奉太郎が目に、耳にした情報を(奉太郎自身の)都合のいい解釈によって無責任に練り上げられていくもの。それでも、奉太郎の口から紡がれていく「世界」にあたかも自身が当事者のごとく、えるが入り込んでいく様のなんたる緊迫感。

そして、あっけなく訪れる「ゲーム終了」という現実への回帰。推理の終了と共に、二人に待っているのは目前で犯人に手錠がつながれての難事件の解決でなく、部活を終えてまた明日という他愛ない学校での1日の終わり。
実のところ、奉太郎が無責任に推測を重ねてきた推理すべてが事実だったのかどうかなど何もわからない。ただ、後日談的に奉太郎の推理が的を得たような結果が待っているだけ。
事件の背景という現実を前に、探偵は何もできない、ただ推理を述べる。古来からの探偵物の、この冷淡なまでの淡々さがある意味行き着いたのが「氷菓」という作品世界であると言わんばかりに。

前回の雰囲気よりもさらに、登場人物が主人公とヒロインに絞られて、何気にこの二人のコンビが引っ張る作品というのを改めて如実にした回でもあったり(含笑)。
改めて、この地味でもある作品がアニメ化の白羽の矢が立ったのは、キャラクターを描く上での魅力が大きかったのかもとまじまじ思うところ。なんというか、原作通過済みであるだけに、物語がこの二人に絞られる回が最終回まであと2回分はあるはずなんだよな(笑)。
次回、いかにもなラブコメシチュエーションのピンチでござる。

氷菓 第十八話「連峰は晴れているか」

 2012-08-25
奉太郎とえるの図書館デートの巻。ええもう若者を見守らなきゃならない年齢のおっさんとしてリア充爆発しろとか言いません。俺にはそんな青春はなかったとテレビの前でジタバタするだけで(泣)。

何気ない、窓の外を飛ぶヘリコプターから回想される中学時代の授業風景の記憶とその違和感。奉太郎が立ち上がるとき世界は震撼する。奉太郎の気まぐれ的な、率先しての「気になる」発言にゴジラ上陸並みの騒動となってしまう古典部ヒデぇ(笑)。
記憶の違和感の謎を解く、その鍵は図書館に保管された過去の新聞記事。里志と摩耶花は不参加のためなし崩し的にえると図書館デートというか、自転車通学のえるにひとりで先に向かわせるあたり、青春タンデムを真っ向から否定する青春はあまりに悲しすぎるぞ。

今回、奉太郎自身を突き動かすきっかけとなったのは、記憶の違和感と同時、その背景に起こっていただろう事件と、何も知らず呑気にしていた自身へのうしろめたさ。
自身が漠然と日々を過ごす中、自分のあずかり知らぬところで知人が胸を痛めていたであろう出来事。
誰もが持ちえる、自身が生涯気付くこともなく他者が傷付いている――無自覚という罪。

気付かなければ、それはただの他愛無い思い出。気付いてしまえばそれは良心の呵責。今回、奉太郎が後悔も覚悟で真相を確認したのは、「人の気も知らないで」という過去の記憶の人物に対する贖罪の念。
ドライにすぎる無気力者でありつつ、奉太郎が決して、自身の無自覚なる罪に目を背けないキャラクターというのが描かれたのは良かった。ええそりゃもう、えると二人での調査で、彼女の心象にまで変化をもたらすというラブコメ的なニヤニヤ感まで含めて(含笑)。
もう最終回まで1話完結で短編原作エピソードが続くんだろうけど、このニヤニヤ感は最終回まで楽しめそうであります。

氷菓 第十七話「クドリャフカの順番」

 2012-08-18
「持たざる者」は「持つ者」との圧倒的な才能差に屈服し、自身の努力を諦観してその相手の才能に「期待」する。されど、その期待を「持つ者の責任」と勝手に決め付けるのは実は単なる「持たざる者」の身勝手。
事件の真の標的だけが読み解ける、十文字の真意たるメッセージに、屈託なく気付くことが出来ない標的。
奉太郎と犯人との会話劇で淡々と語られる真相ながら、画像的演出など何も無しに、犯人の絶望感を視聴者に刻み付けてしまう演出が痛烈な。

自身が他者に「期待」し奮起させるでなく、ただ他者に甘えている態度を出してしまったことを自覚するえる。
他者の傷に気付くことなく、自身が身勝手な「期待」と意地を振りまいていただけだったことに気付き涙する摩耶花。
原作にない役割として、事件の真相を耳にする第三者となりつつ、自身の身の程を思い知らされるだけの結果となってしまったことを噛み締める里志。
探偵役たる奉太郎が淡々と事件の幕を下ろす一方で、古典部メンバー各々が対峙することとなる自身の限界。文化祭を舞台にした各キャラの群像劇という様相と、物語のある意味テーマのひとつたる青春のほろ苦さを存分に描ききった形にて、長編「クドリャフカの順番」編、完結であります。

事件の恩恵として、誤って大量に刷った文集の完売という成果を成し遂げ、何事もなかったかのように文化祭という祭典から日常に戻っていく古典部の面々。奉太郎以外の三人が三人、各々苦渋を体験しつつも、日頃の古典部としての騒がしい空気に戻っていくこの安心感(苦笑)。
ラストシーンでの、物語の骨子としての苦渋じみた空気が浄化されるまで含めて、見応えと共に楽しめた長編だったです。

予告からして次回は単行本未収録短編だし、次回以降、さすがにあとは短編を消化していくにとどまりますかね(原作的に、区切りのいいところで最終回を迎えられるはずではありますが)。どこか切ない余韻を残しての長編終了として、あとは最終回までこの安心感ある空気のままで完結してほしいところですが。

氷菓 第十六話「最後の標的」

 2012-08-12
運命の文化祭最終日。
十文字事件、今まで「き」の字の部がやられたことから「く」の字の付く部を張り込む里志及びその他野次馬大勢なれど、十文字の餌食となったのは「け」の字の軽音部。
十文字のフレキシビリティに舌を巻く里志ながら、いよいよ最後の標的たる「こ」の字の部を残しての怪盗十文字最終決戦。そして、「こ」の字の古典部では、事件を紐解く最大の手がかり――わらしべプロトコルにより奉太郎の手に同人漫画「夕べには骸に」が届いての、最後の事件の様相整理編。

今回、奉太郎に「夕べには骸に」をもたらす(里志ら探偵志望がどんなに奔走しようと、これがなければ解決できない事件)奉太郎の姉ちゃんは、やっぱり顔立ちは見せない演出なのな。
摩耶花が漫研での自身の存在意義を賭けた1冊であったこだわりの本だけに、流石の奉太郎もその内容に感嘆というか、この本のあとがき――原作者、作画担当でないもうひとりの関係者によって書かれた次回作予告と、そしてその予告を裏切り刊行されていない次回作「クドリャフカの順番」。
前回、摩耶花が漫研部長から聞くことになったその原作者の名前と、今回、えるの好奇心から突き止められる、作画担当である生徒会長の名前。
今は転校してもういない原作者と、今年は新作を刊行しなかった作画担当。その事実が示す辛辣さの前触れのように、漫研での行き過ぎた意地悪にひそかに泣くこととなる摩耶花というか、嗚呼、もしボカロコスプレの部員がこれやってたら本当にクリプトンに怒られるなあ(大汗)。

奉太郎の脳内で整理されていく事件と、その奉太郎の推理に、つい余裕をなくした表情を見せてしまう里志。自分がこの十文字事件に際してあたふた駆け回り、十文字の尻尾どころか何も手がかりを得ることは出来なかった。そして今、自分の目の前で着々と推理を構築していく奉太郎。
お調子者キャラでありながら、時折里志が奉太郎に対して覗かせる、感嘆であり羨望であり敗北感であり嫉妬である表情…。

里志が奉太郎に期待するのは、里志自身は知らざるところとはいえ、かつて、入須先輩が奉太郎に諭した「持たざる者に対する持つ者の責任」。それは「夕べには骸に」の作者チームに対する摩耶花の期待もまた同じこと。
自身にない才能を見せ付けられ、圧倒されざるを得ない持たざる者たちの葛藤。文化祭編の原作長編である「クドリャフカの順番」って、実はそんな物語。

次回、原作の消化量的にたぶん解決編。ええ、原作視聴者として知っている怪盗の正体は、文化祭編にて毎回のように出演している脇役とだけ。

氷菓 第15話「十文字事件」

 2012-08-09
事件の謎、ABC殺人事件にあり。
おかげでクリスティのABC殺人事件ってこういうネタだったのかと判りましたと、読書暦浅い人生送ったおっさんが言ってみる(苦笑)。

十文字を名乗る怪盗の手により、各部の出し物から次々と他愛のない品物が盗まれるという怪事件に際し、ついにえるの口から飛び出してしまう番組の必殺技口上「わたし、気になります!」。実際、この台詞が飛び出してから奉太郎が逆らえたことがないという意味でもまさに必殺技だわなあ。
アイウエオ順に各部の出し物から、アイウエオ順の名前の品物が盗まれる。奉太郎が看破したこのABC殺人事件の法則性と、この事件を売り込むことで文集の宣伝に繋げようと(奉太郎以外)一致団結する古典部。
店番として部室から一歩も足を動かさない奉太郎がなんとも安楽椅子探偵というか、ミステリーでも実際に文面で踊る活躍を見せるのは推理役たる探偵よりも探偵の元で働く助手(まあ、イメージしやすいパターンということで)。自らさっそくトレーズ閣下の壁新聞部に事件を売り込みに行くえると、もはやガラッ八扱いで事件の情報を求めて校内を駆け回る里志。

つか、入須先輩の教えによる交渉術をトレーズ閣下相手に案の定トンチンカンに発揮するえるというか、それでも壁新聞部には十文字の手口の法則性という情報を与え、見返りとして僅か1行の文章としても古典部の名を壁新聞に記すことを成功させるというのはなんたるヒロイン補正なんたる天然キャラ最強説(苦笑)。
一方で里志は、次のターゲットを奇術部と絞ったまでは良かったものの、まさかの目の前でみすみす十文字の手口を目撃する羽目に…。

摩耶花は摩耶花で、かけもち所属の漫研にて先輩の派閥に目ェ付けられたせいで針のムシロ状態。ちょっとだけネタバラシすると、この視聴者としても見ていて胃の痛い摩耶花パートが「十文字」の動機や意図に結びついている展開になってて、ここを追っていくことで謎解きで感情移入させられるというか…。
前回は古典部メンバー全員による一致団結、今回は事件に個々に絡んでいく古典部と、キャラクターの動きが対照的になってるあたりは、30分の各回に分割するにあたっていいメリハリが付いたなあと。

文化祭最終日を控え、眠れぬ夜を過ごす四人。みすみす目の前で反抗を成されてしまった悔しさと、内心ひそかに燻らせていた奉太郎への対抗意識から打倒十文字に意欲を燃やす里志。
漫研における自身の現状から、自分の漫画と他者の漫画を比べては見劣りする著作に溜息をつくという負のスパイラル状態の摩耶花はともかく、奉太郎は夜遅くまでネット中。ちなみに奉太郎が見ていたところ、終盤への伏線(笑)。
解決編となる3日目を控え、事件は更なる盛り上がりを見せるか?

ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2003/11/11)
アガサ・クリスティー

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氷菓 第十四話「ワイルド・ファイア」

 2012-07-28
文化祭2日目。摩耶花、いきなり先日議論を戦わせた先輩に対して「すみませんなかったです」とワビ入れ。原作だともうちょっとえぐい描写もあったんだけど、ボカロコスプレの先輩の取り巻きどもの冷たい視線だけで存分にクリプトンが怒るレベル(苦笑)。

奉太郎はもちろん朝っぱらからひとりで店番、えるはなんとなくお懐かしやの入須先輩に文集の委託販売の交渉。えるのトンチンカンぶりに思わずいつものクールさを忘れた声を上げてしまう入須先輩というか、入須先輩可愛いよ入須先輩。
えるの交渉下手を見かねて入須先輩、自身得意の権謀術策(奉太郎もまんまと嵌められた)を伝授。てか、普通に教えちゃいけないことを最も教えちゃいけない人間に教えちゃったって不安感パネぇw えるの迷走っぷりは、ある意味文化祭編の楽しみのひとつだわなあ。

そして原作でも最も盛り上がる展開としての料理部主催料理対決。あとから遅れて合流の、沈んでる摩耶花と対照的にもちろん張り切りまくる里志というか、嗚呼、実況側の解説役に杉田智和がいるだけで全部持ってかれてる…。誰だよ杉田呼んだ奴、アクエリオンネタだのと案の定やりたい放題状態じゃねえかwww いいぞもっとやれwww
張り切ってる割に里志は凡人並みの活躍、むしろ交渉役の汚名返上とばかり八面六臂の活躍を見せるえるながらも張り切りすぎが仇となっての失敗。遅れて駆けつける昭和の魔法少女コスプレの摩耶花の困惑という絶対の危機と、その部の危機を救うべく、窓から身を乗り出して声を張り上げる奉太郎――。

原作全シリーズ中において、もっても古典部メンバーが心をひとつに協力し合う回というか、ホント見応え的にはあらゆる意味で文化祭編の頂点であります。
料理対決優勝という、文集宣伝最大のチャンスを得ながら、その宣伝を忘れさせる怪事件またも発生。危うく古典部の料理対決優勝を阻害してしまう危機をもたらしたというか、次回よりいよいよ古典部、事件に本格的に挑戦開始。ちなみに原作だとここまででキリ良く半分。
今回が画的に派手に盛り上がった分(主に杉田のせいでw)、次回以降の推理劇での後半の盛り上がりをどう魅せていくかなあ。ええ次回、入須先輩から授かったえるの権謀術策に、新聞部トレーズ閣下がどんな目に合わされるかも見所ではありますけど。

氷菓 第十三話「夕べには骸に」

 2012-07-21
今回から新OP。これまで古典部に関わったキャラたちが順番に登場という演出ながら、入須先輩しか印象に残ってないわw

文化祭初日終了。
文集販売の交渉というよりクイズ大会での参加で宣伝を試みる里志というか、ホントに文化祭で遊びまくることしか考えてねえ(笑)。クイズ大会の男女司会、ウルトラクイズみたいなMCもみのさん並の正解までの溜めもやたらイラっとするけど、男司会のほうが途中でバテて座り込んでる画ワロタ。
えるはえるで相変わらずどこでも交渉下手を発揮中というか、ああ、面接とかで聞かれもしないことを焦って先走って喋って失笑を買っちゃうタイプだ(悲)。遠まわしにちまちまお願いするよりは、バシっと「コレをやれ!」という結論から先に言って、説明なんか後回しというのはある意味男らしいなあ。

奉太郎、わらしべ長者プロトコルの流れに乗って、前回被服部員から手に入れたワッペンをグロック型の水鉄砲と交換。
そして摩耶花は所属する漫研での先輩との対立劇と、ええ四人が四人とも各々のドラマを持って文化祭初日が過ぎていくというか、そして徐々に、古典部に情報が集まっていく、謎の怪盗「十文字」による窃盗事件…。
各キャラクターたちの各々の見せ場を提示しつつ、事件が静かに進行していくというプロットは、原作でやたら期待感持って読んでいた部分。ええ文化祭編、映像的なクライマックスとしてはむしろ次回の料理対決になるんだろうけど、ここもアニメ化されて映像的に如何に盛り上がっていくか楽しみ。

あと、前回に引き続き、原作にない部分としてのえるのコスプレ写真撮影とその写真をしっかりガン見してる奉太郎…。ヒロインの出番的サービスばかりでなく、ラブコメ的な要素も足して視聴者を逃がさないぞという京アニのやる気が素晴らしいな(笑)。
予告での、次回の摩耶花のコスプレも原作でのエスパー魔美じゃなさそうだけど…アレなんだろ? 見たことあるようなないような??

氷菓 第12話「限りなく積まれた例のあれ」

 2012-07-14
そこはかとなくえろかったEDもいかにもな少年探偵団モノを髣髴とさせる新EDとなり、長編「クドリャフカの順番」編スタート。
アニメの高校の文化祭は、どう考えても生徒の労力を超えた過度な装飾が校舎内に施されるのが基本。文化祭ということで、古典部の出し物は文集「氷菓」発売するだけ。印刷所との連絡ミスに摩耶花が責任感じる中、刷った文集は200部。古典部に与えられた怒涛のミッションは、この200部を完売すること。えるが率先して文集の売り込みに駆け出すというのに、胸を張って店番に立候補する奉太郎ナイスクズ主人公(笑)。

まずは四者それぞれの文化祭の様子からスタートというか、文集の件ばかりでなく、兼任している漫研での居心地の悪い立場に身を置く摩耶花がなんとなく見てて胃が痛い。EDテロップにしっかり「協力/クリプトン」と出ていたとはいえ、漫研部員たちの思いっきりなボカロコスプレ普通に目が点になった…。まあ、きちんと許可さえ取れば登場もやぶさかではないんでしょうけど、「らき☆すた」とかじゃあるまいしここまでノリノリに突っ走ったことやるアニメとは思ってもいなかったので(苦笑)。
部長としての使命感に燃え、部室以外の文集の販売場所を探して校内を奔走するえると、もはや文化祭を楽しむことを何よりも優先し屁の役にも立ってない里志w 一緒に交渉するはずの里志の助力が得られない状況ながら、える、まずは生徒会との折衝にていきなりのコミ障っぷりワロタw
原作にない部分として、好奇心のままに脱線して各部活の出し物についつい参加してしまうえるというか、ええメイドさん衣装を初めとするコスプレ記念撮影はもちろん視聴者サービス。

学園物アニメの文化祭はイベント編が基本として、目標を同じくする四者四様の泣き笑いの様に、そして静かに、ひそかに起こり始める怪事件と、原作おもろかっただけに期待にたがわぬ序盤スタートになんとも満足であります。ある意味原作読んで、一番アニメとして見たかったエピソードでもあるので楽しみ。
あと、USTREAM先行配信の11.5話にて帰国した奉太郎の姉ちゃん、やっぱり極力顔は映さない演出か。まあ物語全体のある意味黒幕とも呼べるキャラクターだけに、存在感をミステリアスにしときたいって意図かなあ。

クドリャフカの順番 (角川文庫)クドリャフカの順番 (角川文庫)
(2008/05/24)
米澤 穂信

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氷菓 第十一話「愚者のエンドロール」

 2012-07-07
長編「愚者のエンドロール」編解決。
入須先輩の影のアドバイザーだった人物が最後まで固有名詞を明かされないのは原作どおりとして、まあ第1話から見てる視聴者には誰だったのかは判りやすいですかね?

自分の推理の矛盾に気づき、そして奉太郎が思い知る、自身が他者の感情を鑑みない故に、他者に容易く利用されていたことに気付けなかった辛辣な事実。
タロットカードが指す人物評から、奉太郎がやっと行き着く、事件がそもそも「フィルムの謎を解く」ことではなく「フイルムを完成させる」目的で起こされた茶番劇という真相。
「女帝」のカードを持った、すべての糸を引いていた“真犯人”は、いつになく感情的な声を発する“探偵”に「女帝」の称号に相応しく毅然と接する。“探偵”が求めていたものがあくまで“真相”として、それを、最も“探偵”が望む形で与えるために。あたかも、それこそが“探偵”に対する報酬のごとく。

奉太郎の「それを聞いて、安心しました」の言葉は、確かに“報酬”を受け取ったことの証印。まさに自分の推理が“真相”として認められたこと。
そしてそれは、自分が人形劇で踊る愚か者だったことを認めること。
今回、原作にない部分のキャラクターたちの心の機微を映像面でフォローする演出が目立ったけど、原作通過済みとしてはさすがにミステリー人形劇のポスターを忌々しく見つめる…ってのはやり過ぎな感じではあります。
視聴者誰もが原作――キャラクターたちの微妙な心境の揺らぎに目を通した上でアニメ見る訳でもないので、視聴者にわかりやすい形での主人公の心象描写は必要なんでしょうけど。

原作が淡々と進む分、原作からは意外な(抑制した演技としても)すぐ感情的になる奉太郎像というのは、演じる中村悠一(ブシドー)が、視聴者的に好感の持てる血の通った存在感を与えていると思えます。いえ映像面からして、淡々とした物語から時折背筋が凍るような描写をぶつけてくるあたり、まさしく「映像の力で魅せる」アニメになってるとも。そういう意味でも京アニという製作会社が任されるべくして任されたアニメなのかも。

その原作から大きく変わったエピローグは、ええもちろん原作どおりだと視聴者の目が疲れるからという理由以前にメインヒロインの顔出しの出番を増やす救済措置(笑)。
次回、実はやるとは思ってなかった長編「クドリャフカの順番」編スタート。やるとしたら二期製作決定か、劇場版かって思ってたんだがなあ(苦笑)。文化祭編楽しみです。

氷菓 第十話「万人の死角」

 2012-06-30
持つ者と持たざる者、持つ者に問われるべきは自らに対する自覚と責任。

にわか探偵三人による推理をバッサリ切った奉太郎の検証能力と判断に対し、奉太郎を「特別」と称える入須先輩。謙遜というより、あくまで自身をつまらない人間と評価したい奉太郎にとっては「運が良かった」で済まされる結果なれど、「持つ者と持たざる者」を指した入須先輩のたとえ話はなんとも辛辣。
奉太郎がありたいと願う自画像は、無駄な力を一切使わず流されるがままの人生。だけど奉太郎に与えられた“天賦”に求められるのは、その能力に対する自覚と他者の困難のために振るう責任。
されど、後日の里志との会話で明かされることとなる入須先輩の言葉の真意が「羨望」というあたりは、奉太郎の孤高さと孤立感を際立たせるというか…。世辞にも人間関係の構築が上手とは言えない奉太郎に里志がまとわりつく理由すら炙り出されるあたり、ここで僅かに、里志の黒い部分まで見せたのが上手いな。

傍からみれば、入須先輩に煽てられ掌で転がされたかのごとく、未完のフィルムの回答を「倒れた脚本担当の真意」として構築する奉太郎。フィルムに矛盾もなく、観客を盛り上げる要素まで盛り込んだその出来栄えに満足する入須先輩とスタッフながら、映像作品として完成されたそれに対する違和感を感じてるえる。
未完だったフィルムに対するえると奉太郎の最大の相違は、脚本担当への感情移入。フィルムの中の事象から“事実”を導き出す奉太郎と、フィルムから直感する脚本家の思いの部分から“真実”を訝むえる。本当、主人公とヒロインとしてのこの二人の対比は判りやすいなあ。
そして摩耶花の指摘から気付くこととなる、奉太郎自身の推理の綻び。次回、奉太郎に欠けていた「自覚」と「情」の部分が目を閉ざしていた真実開放。ええ、あの未完のフイルムから完成品への違和感を覚えるあたり、えるも存分に「持っている人間」と思えるんですけどね(含笑)。

氷菓 第九話「古丘廃村殺人事件」

 2012-06-28
古典部VSにわか探偵三人。
今回全編、未完のフィルムを巡る古典部とにわか探偵たちのディスカッション劇。キャラクター的にニヤリと来るのは、今回古典部の相手となる三人が各々「二時間ドラマ」、「本格推理」、「モンスターホラー」と、「ミステリー」と名のつく作品に対する万人的なイメージのそれぞれ代表格であるということ。ええ事件の真相を「二時間ドラマ」と推理する生徒の、犯人奉太郎を断崖絶壁の上で逮捕するイメージに無駄に爆笑(笑)。

二時間ドラマ、本格推理、モンスターホラー、どの推理にも共通しているのは、最初に書かれた――ホームズの模倣から始めたであろう緻密な脚本に対する見事なまでの矛盾。本格推理説を唱え、古典部に挑戦的な態度で挑んでくるミステリーヲタの推理がフィルムの時点で崩壊していたというのはなんとなく痛快。無名の映画に「不可視の侵入」とか厨丸出しのタイトルまで勝手につけて、うわこいつ、恥ずかしさに枕に顔を埋めてジタバタするんだろうなあw

にわか探偵たちの推理と撮影事情から炙り出される、映画を作るにあたっての、生徒たちの無駄な情熱とやる気と時には脚本の意図を超えた暴走。映画を作る技術など誰も持たず、ただノリだけで突っ走って、脚本担当を倒れるまでに追い込んでしまったという事態。実は古典部に託されていたのは、ゴールを見失ってしまった生徒たちの迷走に収拾を着けること。
実はこのフィルムに決着を着けるにあたって、すべては超常的な第三者の存在のせいでしたという「モンスターホラー」が一番手っ取り早くもあるというのは奉太郎ですら納得の解決方法、ただし、その解決は例によって「フィルムの結末が気になる」=倒れた脚本担当に過多に感情移入してしまったえるが許さない。
なんだかなあ、以前の感想にも書いたけど、お嬢様キャラという相違だけで、周囲を自身のペースに巻き込んで突っ走らせるあたりはえるは本当にハルヒといい勝負。

にわか探偵どもの推理をバッサリ切った帰り道、奉太郎を待ち構える今シリーズヒロイン・入須先輩。次回、探偵、依頼人の心情を聞く。
今回、まさかやるとは思わなかった原作同様ウイスキーボンボンで酔っ払うえるというのは、ああ、倫理描写的に本当にEテレ土曜夕方の時間帯で放映する気はないんだなあ(苦笑)。

氷菓 第八話「試写会に行こう!」

 2012-06-27
劇中での、各々のタロットカードに例えての人物評価はもちろん後々の伏線。

長編「愚者のエンドロール」編スタート。冒頭のチャットのやり取りからして原作どおりとはいえ、「4人」の人間による時間差あるやりとりというのは原作未読の視聴者は判りづらいかも。
夏休みの古典部に持ち込まれた探偵依頼。今回長編のある意味メインヒロイン・入須先輩からの依頼は、脚本担当が病に伏したことにより頓挫した彼女のクラスの自主制作映画を完成させること。製作中断中のフィルムの、役者陣の大根演技よりもむしろ登場人物たちのカメラ目線を意識しすぎの拙いカメラワークがむしろ“それっぽい”出来。
好奇心の猛獣として、最初の事件が発生したところで中断してしまうフイルムの続きに対してもちろんえるの「わたし、気になります!」炸裂。ここ入須先輩内心ガッツポーズ入ってるとこ(笑)。

じっちゃんの名に懸けなきゃいけない名探偵の孫とか怪しい薬でショタ化した学生探偵とかでもない、あくまでただの県立高校の生徒たちに過ぎない主人公たちを「密室殺人の推理」というシチュエーションに誘い込むプロットの妙が、まず原作読んで感心したところ。原作通過済みとして多くは述べないけれど、ここから待ち受けるのは複数の探偵たちによる推理合戦そして探偵とヒロインの心情的な交流という、実はミステリの押さえるべき部分に非常に忠実な「ミステリー作劇」(苦笑)。
そういうのもあって入須先輩役を誰が演じるかという興味もあったんですが、ゆかなというのはキャリア的にも入須先輩のキャラクター的にもいい貫禄。あと、番組そのもののキーパーソンである奉太郎の姉役が雪野五月ということで、ああ、同じ京アニ作品としてフルメタのヒロイン二人がそろった訳か。ええまたガンダム関わりの声優にキーパーソン役に来てほしかったところながら(二代目フォウ? フォウは島津冴子さんしかえんじたことないじゃーないかはっはっは。)。

愚者のエンドロール (角川文庫)愚者のエンドロール (角川文庫)
(2002/07/31)
米澤 穂信

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氷菓 第七話「正体見たり」

 2012-06-09
せっかくの温泉回なのに、気合いが入ってるのは男湯の描写ばかりそんな世の中なんて。野郎のパンツ脱いでの生ケツ披露の演出に無駄な力使わなくても(泣)。

夏休み、古典部一同温泉へ合宿に行く。バスに酔い温泉で湯あたりしてぶっ倒れる奉太郎の虚弱体質描写ばかりがクローズアップされてる気がしたけど、少なくとも湯あたりについては思春期らしいエロ妄想が原因ワロタ。
ひとりっ子のえる、兄弟に憧れるの巻と温泉宿で目撃された謎の首吊りの影。ええもちろん、真相自体は他愛もないというよりむしろ可愛らしい出来事とはいえ、温泉宿で出会った幼い姉妹にえるが抱く兄弟への幻想と、ある意味彼女の思いを傷つける寂しい真実。
原作通過済み視聴者として、原作でえるの失望感を投げっぱで終わっていたところを、アニメのほうで救いのある結末に逆転的に転化させたのはいい意味で驚き。わずか10秒にも満たない描写で、原作の余韻をぱっとひっくり返したのは、せっかくの女の子ゲスト回を気持ちよく終わらせようという意図ですかね。見ていて思わずにやりと来る画作り的には好改変だったと思いましたです。
あと、ゲスト姉妹の姉役が豊崎愛生ということで、える役佐藤聡美が律っちゃん的に考えて、放課後ティータイム全員出演のフラグが立ったかとかミーハーっぽく言ってみる。
次回、いよいよ長編「愚者のエンドロール」編スタート。いやあwktkしてきた。

うち? ええ同居してる兄、自分の通勤に使う車の給油に行かせたりとそこそこ使ってますよ。兄が自営業なんで時々手伝ったりと適当に使われてやってますけど。

氷菓 第六話「大罪を犯す」

 2012-06-02
日頃温厚な大天使チタンダエル様だって怒る時は怒る。
授業中、シャーペンの先っぽから芯を入れる「あるある」な光景についついウン十年前の自身の学生時代を思い起こしつつ、今回も基本部室内でのディスカッション回。
えるの冗談めかした「疲れることはしたくありません」の言に、文字通りの天使の姿を見る奉太郎というか、えるに対する奉太郎の観念描写もなんとなく久々だなあ。もちろん「私、気になります!」での自身にまとわり付く無数のグレムリンってホラー描写が端的にえるへの奉太郎の印象を表しているというか。ちなみに今回、奉太郎が読んでた文庫本は疫病バイオハザードパニック物である篠田節子の「夏の災厄」(苦笑)。

今回の謎解きに必要な小道具としての、原作にないアルファベットクッキー。そもそもの数学教師がクラス別の授業の進行を間違えた謎は些細なもの。ある意味今回の本懐は、奉太郎自身がえるに対する印象の変化を見つめなおすところ。
本当にえるが知りたかったのは、教師が勘違いをしてしまった理由などでなくおそらくは、その理不尽に対して自分自身がまた理不尽に怒ってしまった理由。奉太郎曰く「好奇心の猛獣」(別に盲獣でもいい気がするが)として、えるがいつも欲しているのは納得。
相手を責めてしまったことへの、自分自身のミスと思いたいがゆえの、自身の反省に至るための理由。

常に他者に愛される側として、他者を傷つけたことに「自分なりの方法」で悩んでいたえると、そんな彼女の悩みを無感情に指摘しつつ、自身がえるのことを見透かしてしまっているがごとき考えを「傲慢」と自制する奉太郎。
「p」と「d」というアルファベットに分ける、薔薇色の世界にいるえると未だ灰色の居心地の中にいる奉太郎との対比。
気になる他者に対してのひとりよがりな「傲慢」は、その相手との距離を縮めるために必要なもののはず。今回のテーマでもある聖書言うところの「大罪」は、実は人としてのあり方ではなく他者との距離を表したもの。
タイトルどおりの「大罪を犯す」ことで、たぶん人間同士の距離は縮められるとしても…奉太郎の「灰色」は、その大罪に至るまでのモチベーションに至れないとすれば何気に皮肉な。

今回、割と青春物的な心理描写を補完しつつ、次回深夜アニメの華温泉回。残念ながら、女湯覗きに命を懸けるような作品でないのがちょっと惜しい。
ああ、同じ京アニ作品の温泉回として「フルメタふもっふ」は最高だったわ(笑)。

「夏の災厄」
http://kuroki-rin.cocolog-nifty.com/heaven_or_hell/2006/07/post_478a.html

氷菓 第五話「歴史ある古典部の真実」

 2012-05-26
原作では入学当初から夏休みの間までの出来事だったのが、どうやらせいぜい入学~梅雨の初めぐらいの時間というふうに改変された様子。まあ、それで次回に来るのが本来なら関谷純を巡るエピソードの合間に入るはずだった短編なんですが。

「省エネ主義」、「やるべきことは手短に」。奉太郎の矜持を揺さぶったえるとの出会いと、本人の胸に燻っていた「薔薇色」への憧憬。
奉太郎の精一杯の「薔薇色に近づくための労力」が導き出した45年前の事件の推測と、「灰色の部分からの疑問」が囁く真相の必要性。

「氷菓」という文集タイトルに込められた、関谷純の45年前の思いに触れ、珍しく感情を露にする奉太郎。真相が明らかになって、えるの観念描写にて「氷菓」表紙イラストの残酷さがこれでもかと浮き彫りにされる演出に背筋が震えたですよ。
もし弱かったら、悲鳴も上げられず、生きたまま死ぬ――。
45年前、たったひと言、関谷が拒絶する勇気を持っていたらあるいは無かったはずの悲劇。
幼い日のえるが泣いた叔父の話は、叔父自身の後悔と姪に説いた強くなるための勇気。
誰も――歴代の古典部部員が誰も(おそらくは、キーパーソンたる奉太郎の姉を除いて)そのメッセージに気付けなかったからこその奉太郎自身の憤り…。

45年前の真相の解明は、本当の意味でのえるの依頼に応えることであると共に、奉太郎自身が自ら古典部というコミュニティに――「薔薇色」に踏み出すための踏破点。
「薔薇色」に踏み出しかけたからこそ、奉太郎が許せなかったのは無気力、無責任といった「灰色」の感情が招いた関谷純の悲劇。ここで、「灰色」に怒りを覚えたことで、奉太郎はやっと古典部というコミュニティの中に、自身の胸中で密かに憧れた彩りに歩み寄れたのかも。

以前の感想で、事件に関わる人物役がガンダムつながりの声優が来たら嬉しいとか書いたけど、今回、45年前の当事者にして真相の語り部となる糸魚川先生役が小山茉美(キシリア様)ということでちょっと喝采。つか、つい先日「星矢Ω」でまた凛々しい声を聞いたばかりだったし、80年代を生きた親父視聴者としてまたアニメの仕事を増やしていただければちょっと嬉しかったり。
シリーズ第1作というエピソードの常として描写される、人間関係の構築や、ヒロインとの出会いによる主人公の心境の変化。このシリーズの続きが見たいと思えるぐらいには楽しめた序盤5話でした。原作長編「愚者のエンドロール」まではアニメ化されるんだろうけど、個人的には文化祭編「クドリャフカの順番」も期待したいところ。

氷菓 第四話「栄光ある古典部の昔日」

 2012-05-19
原作だと今回はもう夏休み。原作どおりの時系列で行けば、実は梅雨時にまた単発短編のエピソードが入るんだけれど、ストーリーの流れを中断しないためにカットしたか後々に廻されるのか?

ディスカッション話。奉太郎(ブシドー)と待ち合わせで恥ずかしげもなくハツラツと駆けつける里志(ウッソ)のヒロイン力は今回もテンション高いなあ。
古典部一同千反田家に集まっての、45年前の事件の意見検討会。各々が分担して調べ上げてきた45年前の事件についての資料の検討と調べた当人による仮説の発表。
えると摩耶花の女子連が真面目に資料から推測される仮説を述べていくのに対して、データを揃えるだけで仮説は用意してない里志と、そもそも資料のコピー1枚持ってきただけの奉太郎という、いかにもな文化系部活動の男女間の物事の取り組み具合が無駄にリアル(笑)。
全共闘時代を背景とした、えるの叔父関谷純を筆頭とした学生たちと学校側との当時の軋轢と、運動の責任をひとり背負い退学という形で学校を去った当人。並べられていく資料と意見の応酬。
登場人物4名のみのディスカッション劇というともすれば退屈なエピソードとして、居間→縁側→台所という舞台の移動、晴天→降り出す雨、間食のおにぎりを作るために髪をポニーテールにまとめるえると、時間経過とともに画面に変化を与えていく演出はきちんと視聴者の目を画面から離させない上手い画作り。

いざ自分の発表の寸前になって流石に手抜きに過ぎる自分の仕事への後悔と、偶然覗いたえるの部屋での叔父の事件を調べるための努力の跡を目に、反省を促されることとなる奉太郎。
原作でも舞台変化などもなく淡々と進行していく部分だけに、きちんと奉太郎に頭を働かせる“動機付け”を付加したのは良い仕事。

提示された資料を糸で結び、ひとつの輪としてまとめあげ成立する推測。
矛盾なく整然と、理に適った意見をまとめあげる奉太郎の推理力(本人からすればこじつけ力)がもたらす古典部一同の“納得”。
だけど、える本人がこの事件が「気になる」きっかけとなった…幼い日の彼女が、叔父の話に自分が涙した、その理由は解明されていないまま。

奉太郎のフラットな推理に欠けているのが、関谷当人の当時の感情の部分とすれば、ここでも里志が奉太郎の人格を評した「灰色」が、「事実」を読み取っても「真実」は読み取れないという部分を現したわけで…。
たぶん次回で完結となる序盤エピソードは、原作を読んだ限り、「灰色」に居心地を感じる奉太郎が、「薔薇色」に歩み寄り始める…そんな役割を持った物語。フラットな奉太郎が、やっと関谷純の当時の感情に至る、次回のクライマックスが楽しみでもあります。

氷菓 第三話「事情ある古典部の末裔」

 2012-05-12
場末のサ店にて名探偵、美少女の依頼を受けるの巻。わざわざセピアトーンに彩られた舞台での、えるからの奉太郎に対する切羽詰った協力依頼。こういう雰囲気を大事にした画面作りは流石の京アニの仕事。

序盤回の縦糸となるえるの叔父、関谷純がえる本人に言い残した謎の言葉。鍵は45年前、当時の古典部部員だった関谷に起きた出来事というか、事件の発生が1968年なので、アニメ本編は2013年の出来事ってことか。単にまた来年もこの作品で稼ぎたいという京アニの願いというのは穿ちすぎながら(笑/原作での物語の舞台となる時系列は西暦2001年)。

事件を紐解く鍵となる、歴代古典部製作の文集バックナンバー捜索。声的には名探偵ブシドー対バックナンバーを隠蔽する今週の犯人トレーズ閣下。個人的、毎回の事件のキーパーソンがガンダムゆかりの声優だったりしたら俺得(ニヤリッ)。
観察力と、観測したファクターを1本の輪に結びつけるのが探偵の才。原作からしてそうだとはいえ、超然的に描かれる奉太郎の際立った推理力と、今週の犯人トレーズ閣下の余裕ない犯人演技がもたらすまるでコナン君のごとき緊張感。まあ奉太郎の推理力のモチベーションとなるのが「面倒ごとめんどくさい」のサボり根性というあたり、推理より実は悪知恵という微笑ましさも働きますが。

奉太郎のナイス脅迫にて古典部の手に渡るバックナンバーと、かつて叔父から見せられたその表紙に記憶を紐解かれていくえる。そして欠けた、事件の鍵となる45年前に発刊された文集創刊号。
“伝説”から“英雄”になったという、執筆者の主観丸出しの関谷評はいよいよ次回以降明かされていくとして、もし、アニメが原作の時系列に殉じて展開していくというなら、次回はその事件の合間となるエピソードが入ることになっちゃうんだわなあ(第1話の後半部分は、原作での単発短編)。物語の興味を引く流れとしての叔父の謎をそのまま追うか、あくまで原作の時系列の並びを忠実にやっていくのか、そういう意味でも次回は注目であります。

氷菓 第二話「名誉ある古典部の活動」

 2012-05-05
アニメ化されて顕在化する、ハルヒ並みの迷惑暴風ヒロイン・えるの無駄な行動力。えるという暴風に巻き込まれて日常を荒らされてる形の主人公・奉太郎(声:ブシドー)との関係といい、なんか古典部シリーズアニメ化の理由がポストハルヒに思えてならない。いえハルヒほどの、第1話からの強烈なインパクトはなかったとしても。

サブヒロイン摩耶花登場編。図書館での本の貸し出しを巡る30分間の推理劇。当然のごとく事態を無理矢理事件化して乗り気でない奉太郎を探偵に祭り上げるえるというか、奉太郎の妄想内、メイドスタイルのえる云々というより、自らの選択を強制される奉太郎という画が古典部シリーズという原作の内容を端的に表してるわなあ。
ハタ目には図書館で騒いでいちゃついてるリア充カップルというか、俺(視聴者)のリア充に対する憎しみを増幅させる、なんて非道な内容のアニメなんだ(泣)。

ほとんど放映とリアルタイム、図書室で司書の先生を待つ30分の間に手短にして鮮やかに解決される事件。事件解決をはしゃぐ古典部一同の華やかな輪を、ひとり灰色の世界から傍観している奉太郎…というこの距離感。
明確に奉太郎が主人公の物語として、アニメではやっぱり、奉太郎がこの距離感を縮めていく様、自分の世界に、少しずつ彩りを添えていくあたりが協調されていくかなあ。

今回から導入のED、そこはかとなくエロいのは、本編中色気ナッシングの内容から客を釣るためか国営放送で夕方から放送するつもりはないという意思表示か。
あと、同じ京アニ作品として…良くも悪くも、ハルヒ第1話の放送は京アニにとっても世のアニメ好きにとっても、日本のアニメの大きなターニングポイントになったと思うんだよな。某画サイトで第1話見て、速攻でDVDを予約した、あの春からもう6年か…。

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(2012/06/29)
中村悠一、佐藤聡美 他

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氷菓 第一話「伝統ある古典部の再生」

 2012-04-28
原作通過済み。無気力な少年探偵と探偵を事件に引きずり込む活発少女助手というコンビネーションは、ある意味典型的なジュヴナイル・ミステリ。むしろ「日常」よりも土曜の夕方の国営放送向け内容なんだわな。

無気力な主人公の世界が、ヒロインとの出会いによって灰色から彩りへと引っ張り込まれるのは、古今東西すべての「物語」の導入部の不文律。
ヒロイン・えるの「私、気になります」の決め台詞とともに、灰色の視界から彩りある世界へと絡み取られていく主人公・奉太郎。このまるで必殺技のごとき描写は毎回やってくんだろうか(苦笑)?

まあひたすら地道である原作を、京アニがいかに「ハルヒ」や「けいおん!」のごとく稼げるアニメに化けさせるのかという興味と期待もありましたが、主人公の観念描写ビジュアルできちんとアニメとして彩りある画面に作っていくのですな。
日常描写、観念描写ともビジュアル面については安定の京アニクオリティとして見ることが出来そうというか、特にラノベとして書かれた訳でもない原作として、キャラ人気を盛り上げて客を釣るとしたらアニメオリジナル展開とかもありえるんだろうか?
ぶっちゃけヒロインより、主人公のダチポジションの里志(声:ウッソ)のほうがハツラツしたヒロイン力を発揮してるというのはどうかと(汗)。

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北国に蠢く黒い影。心に星を持つ男。
模型HP「豪雪地帯酒店・第二事業部」やってます。
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